構造計算偽造問題:設計業務の簡単な説明と対処法
昨日からメディアに取り上げられている構造計算捏造の件について簡単に解説します。
大枠は他で把握できるでしょうから、内部の人間としてのコメントを書こうと思います。
「設計」とは、大まかに下記3種あります。それらが協力しあって「設計」は進みます。
→意匠設計者(直接打合せをし、建物全体をプロデュースする設計=私はコレです)
+構造設計者(構造を専門に設計)
+設備設計者(設備・電気を専門に設計)
意匠設計者は上記3業種の広い知識を持って、お施主様と打合せをします。
細かな技術知識は専門の業種の方には適いませんが、トータルで取りまとめる
だけの技量が求められます。
今回は、この中の構造設計者が罪を犯した事件です。
大前提として、建物を建てる上で、規模に関わらず全ての建物について構造強度の
確認が必要です。
今回は構造設計の会社にばかり着目されていますが、本来は全てを統括する
責任がある意匠設計者にも責任があります。
構造設計者は、意匠設計者の協力業者としての仕事が殆どです。
姉歯設計だけでなく、これに携わった人間の横暴さが招いた悲劇ですね。
強い憤りを感じます。
同じ業界の人間として、本当にムナクソ悪い事件です。
ちなみに、役所や民間検査機関に構造計算書の提出を義務づけられていない建物
に関しても、設計者は必ず構造強度の確認が課せられています。
これは、設計事務所だけでなく建設会社・工務店など建物に携わる全ての関係者に
当てはまります。簡単な増築・改築に関しても、一切例外はありません。
いい加減な感じのオヤジが、軽~く「大丈夫・大丈夫・・」というのが最も怖いです。
一般の方が気をつけるべき点としては、後で証明できるように議事録を作る事をして
頂きたいモノです。
本来は、業者側から提出するのが筋です。
(それを証拠にお客様の無償での追加要望をお断りする為だったりして・・)
ウチでは必ず議事録なり図面を提出していますが、半端な感じの現場などでは
全てがナアナアで進みます。それが、良い業者や職人さんなら+@の事も面倒みて
頂けたりしますが、多くの業者は違います。設計と施工が同一会社の場合は注意。
設計が行う「監理」とは、法律・施工のチェックだけではなく、上記のような事で
施主様や業者の間を取り持ち、スムーズに現場が進むような事もします。
施工業者が行う「管理」とは違います。 (こりゃ監違い・・・寒)
話が反れました・・。作成した議事録を一方的でもFAXなどで相手に送りつけておく。
後での証拠になります。
よって、設計者は1枚の図面・1本の線までも、書いたからには責任が発生します。
私たちは、そのことを常に考えて真剣に設計業務をやっています。
複雑な構造計算書は、構造設計者へ委託しますが、自分の目で見て、話をして、
実績を確認して、信頼できる方にしか依頼していません。(金額は高いんですが・・)
一般の方に理解して頂きたい事は「設計料が高くなってしまう」のです。
培ってきた特殊技能と個性ある発想・デザインを持って、この世に一つしか無い「城」
を実現して、喜んで頂きたいのは勿論の事、施主様の要望・権利・財産を最大限に
維持・確保する為に日夜業務をしているのです。
(文字にすると随分と偉そうですね・・すいません)
昨今は、設計業界にも価格交渉の波が吹き荒れていますが、一切聞けないのには
理由があるのです。
(お断りされた方には、やはり恨まれているのでしょうけど・・・)
仕事を引き受けるからには、当然責任が発生します。 コチラも真剣なのです。
なので、安く・早く・カッコよくという訳にはいかないのです。
相互理解にも時間が必要です。
今回の事件は、同業者にとっては、まったくもっていい迷惑です。
私は、自分のポリシーを持って仕事をしています!!
若いから・事務所が小規模だから・・・という理由で不安な気持ちになるのは、
いたし方ありませんが、自分のプライドを捨ててまで仕事・お金に執着していません。
食えないのなら、深夜バイトでもすれば最低限の生活は出来るのですから・・・
意見・感想があればください。正面向いてお答えします。
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