Residential Lighting Award:審査員コメントに対する回答
Residential Lighting Awardオフィシャルサイトが正式に公開されました。
コチラ
「波乗長屋」は、賞の選考中に突如敗者復活して現れ、審査会でも
賛否両論あったらしいのですが、デザインした建物に対し一定の評価を
いただけた事を嬉しく思います。
このコンテストは、住まいにおける「明かり」の意味・役割・新たな可能性などを
模索しているものに対して評価をしているものだと捉えています。
(建物自体の質という点から見た場合、正直くだらないと思えるものも入選して
いますが、賞の主旨を考えれば異論はありません)
審査員のコメントとして今回のコンテストの主旨とは異なる住宅論的な
意見があり、私が考えている意図を理解していただけてない節があると
感じました。
デザイン優先の無鉄砲な建物だと言われているように感じたので
ここで回答します。
この建物は、内部にも外部にも向けた意図が明確に表現されているものです。
今回は賞の主旨から、その考えの一部を主張したにすぎません。
審査員コメントにある「外が見えない・一般的住宅であれば問題がある」という
意見には断固反論をさせていただきたく思います。
そもそもコンテストの主旨からかけ離れた「個人の価値観」とも言える意見が
審査員という立場の方から述べられるのは心外です。
部屋からは外の景色が見えなければいけないものでしょうか?
使う人が居ないときには箱にしか見えない?? 意味不明・・・。
(まさか無人の時には点灯しないと思われているのでしょうか?)
住まいとは、人間が何も無い所で身を落ち着かせる為に作ったものですから
そこに「こうあるべき」というようなルールなど無いと考えています。
「住まい」とは各々のライフスタイルを実現するための箱だと考えます。
自己満足・自己表現を誰にも邪魔されずにできるステージだとも言えます。
しかしながら現実はそこからかけ離れた状況にあります。
最近の住宅事情は、間取り図に家具レイアウト・生活イメージCGまで載せる
なんともお粗末な始末です。
住み手とは、全てを決めてもらわないと生活は出来ないとお考えでしょうか?
作り手側が、住まいに対して「こうあるべき」と決め付け過ぎてはいないでしょうか。
だから画一的で「つまらない・ありきたり」と思われてしまうのだと思います。
近年の住宅事情においては超買い手市場の状況が続いていて
買い手に媚びるような耳触りの良いキャッチコピーばかりが
目につく状況なので、住み手側の方々は与えられ過ぎて
「考える」事を止めて「選ぶ」ものだと考えるようになってしまって
いるように思えます。
あの建物・あの内部空間を体感してもらえれば分かるはずです。
あの無機質ながら大胆な空間構成。
まさに非日常です。そして何も無い空間です。
それこそが狙いの一つでした。
初めて内部に入った人は、誰もが驚きドキドキした様子でした。
借りる予定の方などは凄く楽しそうに「あーでもない、こーでもない。
家具は○○が似合うと思う。家電は・・・」と話されていました。
オープンハウスに来られた方が言われた「これだと楽しみながら
生活できるよね」という言葉が印象的でした。
-「慣れ・常識」という壁を打ち破る。-
その先にある「自分で発想し、生活を楽しむ」という事を考えてもらえたらいいな
と思って提案した建物です。
それを表現する舞台として、あの場所は最適の場所でした。
私にとって建築デザインとは、「アートな世界のもの」とも考えていませんし
「当たり前のもの」とも考えていません。
デザインとは、芸術を表す意味に使っているのではなく「画策・策略」という意味で
捉えています。
当方のサブタイトルにもなっている「LifeStyle Design」とは、作り手からの一方的な
押し付けの意味ではなく、共に生み出そう という気持ちで唄っています。
私達を独奏者ではなく、パートナーであり助言者と考えていただければと思います。
私と少なからず接点をもっていただいている方々には、どうかあの建物をそんな視点で
見ないようにしていただければと思います。
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Comments
あらためて、審査員特別賞授賞おめでとうございます!
私は「波乗長屋」のオープンハウスに行かせてもらったのですが、
この建物、昼間も素敵でした。
人が居ないときはただの箱ってことはないですよー!
これからも素敵な建物作ってくださいね!
Posted by: ミラクルきぃ | July 30, 2007 08:14 AM
受賞オメデトウ御座います!
ですよね。何もわかってない奴はほっとけばいいのさ。
熱い思い僕には伝わりましたよ。
さいたまの片隅で日々ご活躍の程期待しております。
Posted by: はぎわら | August 01, 2007 04:46 PM
「ミラクルきぃ」さん・「はぎわら」さん
ありがとうございまするぅ~。
このようなコメントをいただけるが一番幸せです。
これからも「apd ワールド」を広めていけるように
奮闘していきます。
宜しくお願いします。
Posted by: apd shimabara | August 06, 2007 04:10 PM